いよいよ発売開始になった「子供の科学のトポロメモリー」。「トポロメモリー」は、トポロジー的
に同じ図形が描
かれたカードのペアを見つけるゲームだ。ここでは、ゲームをもっともっと楽しんでもらうために、「トポロジー」とは一体何なのか、QuizKnock
“ナイスガイ”の須貝駿貴
さんによる解説
を紹介
するよ! 楽しみながら、数学的センスを磨
いちゃおう!
トポロジーの特徴は「やわらかさ」!
トポロジーという言葉を初
めて聞いた人も多いかな? みんなが算数や数学で図形を扱
うとき、長さや角度などを使って、三角形や四角形、円などの図形を「同じ形」、「違
う形」というようにグループ分けしているよね。これは「幾何学
」という学問の基本
的な考え方で、長さや角度が少しでも違ったら別の図形だから、ある意味、“きっちりした幾何学”ともいえる。
一方で、トポロジーはその特徴
から“やわらかい幾何学”と呼ばれている。直感的にいうと、図形Aをぐにゃぐにゃと変形
して図形Bと同じ形になれば、AとBは同じ図形とみなす考え方だ(下図)。
コーヒーカップとドーナツが同じ図形だなんて驚
きだよね。なんだか難
しそうにも思えるけど、実はみんなも無意識
のうちにトポロジカル(トポロジー的)なものの見方をしているはずだ。一番わかりやすい例
に、電車の路線図がある。
実際
の距離
や位置
ではなく、「駅(パーツ)と駅(パーツ)のつながり方」に焦点
を絞
ることで、駅の前後関係
がわかりやすく表示されているよね。こんな風にトポロジカルな見方をすると、ものごとの本質的
な部分や隠
されていた性質
を知ることができるんだ。
ほかにも、トポロジーといえば「メビウスの輪
」や「クラインの壺
」などの図形も欠かせない。こうしたおもしろい図形を考えるだけでもワクワクするよね。
ポイントは「何で見極めるか」
ここで気づいた人がいるかもしれないけど、トポロジーでは、穴
の数や表裏
など「どんな量
によってグループ分けするか」がポイントになってくる。
この量はぐにゃぐにゃと変形(難しい言葉でいうと「連続変形
」)しても数値
が変わらないことから、「トポロジカル不変量
」と呼
ばれる。ものごとをトポロジカルに見るときに重要
なのが、このトポロジカル不変量を見極
めることなんだ。パーツの数、穴の数、分岐
の数、結
び目の数、表裏の区別……といった具合にトポロジカル不変量はたくさんある。
うまくこれを選
んで物質
や現象
を分析
することで、数学の分野を越
えて物理や化学でも新発見が次々と生まれている。近年発見された新物質「トポロジカル絶縁体
」はその代表例だ(下図)。かなり難しい内容
だけど興味
がある人はチェックしてみよう!
トポロメモリーはこんな「トポロジカルなものの見方」を鍛
えるのにぴったりなゲーム。遊びながら、トポロジーの世界へ一歩を踏
みだそう!
本記事は、「子供の科学」2020年10月号掲載の記事を再編集したものです。