南極地域観測隊の隊員になるには?(2025年4月号)

故障した圧雪車の無限軌道を外し極寒の中夜間屋外で修理する機械隊員たち。

 観測隊のうち夏隊は船が近づける夏に、越冬隊は1年間南極で活動します。地球や宇宙、生き物などを調べる研究者や技術者、観測や生活を支える発電、車、水、調理、医療、通信、ごみ処理、大工、野外活動のプロが集まります。30人程の小さな村を営む越冬隊では、専門分野はできて当然。日々の仕事や生活の中で、他の隊員を尊重し積極的に関わり、言葉を重ねて信頼を築き合う誠実さ、困難も協力し楽しく克服しようとする心意気が何より大切です。

 心から楽しく好きなこと、関わり続けたいこと、やってみたい夢、大切に温めて育ててください。挑戦すること、友達や人との出会いから思わぬ機会に巡り合い学ぶこともたくさんあるはず。大人になったときの自分や世界に思いを馳せ、どんな世界に羽ばたきたいか、新しい地平線を求めて心身の探検の旅に出掛けましょう。未知や神秘に溢れる南極を夢見る人は、臆せず最初に海に飛び込むファーストペンギンのように、ぜひ挑んでみてください。

ブリザード(猛吹雪)で外出制限の日に集団でライフロープに沿って通勤する隊員たち。
野外でクレバスやクラック(氷の割れ目)に落下した隊員を救出するためのレスキュー訓練に勤しむ隊員たち。
大切な食料のジャガイモを長く保存できるように、出て来た芽をとる「じゃがいもオペレーション」を、基地周りの除雪(雪掻き)と同じように、共同作業で楽しむ隊員たち。
オーロラや宇宙の天気を観測するSuperDARN短波レーダーの空中線(アンテナ)を5月の短い昼の時間に修理する隊員たち。風があり実際の気温より寒く感じる中、高い場所で安全に気を配りながらの細かい作業は忍耐力が大切。
協力して修理作業が無事終わり喜ぶ隊員たち。
かまくらをつくって楽しいひととき。露天風呂やスキーや橇の滑走台も登場。遊びも自分たちで考えて、あるもので仲間たちと作ると楽しさもひとしお。
表面が凍った海(海氷)を渡って南極大陸に上陸し、内陸旅行のための物資を運んだり、雪に埋まった雪上車や橇を掘り出したりなど、さまざまな作業を終えて、橇を曳いて昭和基地に雪上車で戻ってきた旅行隊。野外活動は危険が多いので、信頼を築いてきた隊員達で慎重に行動することがとても大切。
美しいダイヤモンドダスト
夏作業で1階まで建設をした新夏期隊員宿舎の上に広がった。スイカのようなオーロラ。今回の越冬の一年は太陽が歴史に残る活発さ。オーロラも雪も氷も大陸も海も生き物たちの営みも、神秘と未知にあふれています。

(第65次南極地域観測隊越冬隊長 行松 彰)
掲載協力/国立極地研究所

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子供の科学 2025年 4月号

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