今回は、南極で使っている水の話です。ここ昭和基地では、周りにある雪を溶かし、そこから塩分や不純物を取り除いてきれいな水をつくっています。しかし一度にたくさんの量はつくれず、また燃料を使わなくてはならないので、南極では水はとても貴重なものなのです。そこで僕たち医療隊員は、その大切な水を隊員みんなが安心して使うために、毎月厚生労働省の基準に準じた水質検査をしています。
食堂や洗面所など基地の中のいろいろな場所から水を採取してきます。そして試薬を使って塩素や鉄や銅、ミネラル、有機物などの成分がどれくらい含まれているかを調べたり、色や濁り具合を蒸留水と比べたり、ばい菌が入りこんでいないかを実際に培養したりして調べています。65次隊が越冬を始めてから、水をつくってくれている隊員達のおかげでみんな健康です。隊員みんなが協力して昭和基地の生活を守っているのです。
(第65次南極地域観測隊 医療隊員 寺﨑 康展)
掲載協力/国立極地研究所