オーロラの観測 (2022年8月号)

全天カメラのオーロラ
昭和基地にある全天カメラで撮影されたオーロラ。全天カメラとは360°の全方位が撮影できるカメラで、この写真でオーロラが空一面展開しているのがわかる。

 オーロラは北極や南極でよく見られる自然現象で、昭和基地はオーロラを観測するのに絶好の場所です。太陽から不規則に太陽風
たいようふう
と呼ばれる電気を帯びたガスが噴出
ふんしゅつ
されて、その太陽風によって地球を取り巻く磁場
じば
に沿って電流が流れます。その電流を構成する電子が、大気に高速で衝突
しょうとつ
して発光し、この光がオーロラになります。

 北極と南極にはそれぞれ磁石のS極とN極があり、地球を取りまくように宇宙空間に広がる磁力線
じりょくせん
で結ばれています。この地磁気
ちじき
によって地球は太陽風から守られていますが、その代わりに大きな電流が流れます。

 その電流は、地上から高さ約60~1000kmにある電離圏
でんりけん
で大気と衝突し、主に約100~500kmの高度でオーロラが現れます。特に磁気嵐と呼ばれる活発な太陽風が発生したときに現れたオーロラは、緑色や赤色の光が、激しく満天の星空を駆け巡ります。南極でその様子を初めて見たときは、優雅
ゆうが
かつ壮大
そうだい
な自然現象に心を奪われました。

オーロラ観測用カメラ
昭和基地にあるオーロラ観測用の各種カメラ
満天の星空に舞うオーロラ(2022年4月9日撮影)

(第63次南極地域観測隊 モニタリング観測担当 田村芳隆)
掲載協力/国立極地研究所

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