感染防止対策もしながらの編集作業
毎月10日発売の『子供の科学』の月末は、印刷所に最後のデータを渡すための最終チェック工程、「校了
」で毎月大忙し! 8月末の今は、9月10日に発売する10月号の校了作業中だよ。
ここで『子供の科学』の製作工程をちょっと教えると、10月号なら6~7月の編集会議で企画を決めて、各ページの担当編集が取材のセッティングをしたり、ライターやカメラマンなどのスタッフの手配、執筆依頼
などを進めていく。8月には掲載する原稿、写真、イラストを集めて編集作業を行い、デザイナーにページを組んでもらう。出てきた最初のページ「初校
」を、取材先の先生や執筆者に見てもらい、編集部でもチェックをして、間違っているところを直したり、もっとよい誌面になるように調整したりする。月末の校了作業は、この最終チェック段階だ。
また、コロナ禍の中で、取材や編集作業のスタイルも変わってきている。
取材は「Zoom」などのオンライン会議システムを使うことが多くなった。もちろん、実際に研究室に伺って現場でお話を聞くほうが、研究の現場の雰囲気も感じられるし、研究室にある珍しいものを見せてもらえるなど、よい面がある。ただ、取材がオンラインになったことで、遠方の大学の先生などにも予算をかけずにお話を伺えるというようなメリットがある。
編集作業は、なるべくみんなが集まらないようにテレワークで行ったり、紙をプリントしてみんなで回して読む、といったことをしないようにしたりと、クラスターを起こさない工夫をしている。そんなことも踏
まえながら、編集部の校了作業をのぞいてみよう。
何案もつくった中からベストな表紙を選ぶ!
おーーー! これはまだスタッフ以外は誰も見たことがない10月号の表紙だ。
しかも、いろいろなパターンがある! 検討してボツになった表紙まで見せるのは初めてなんじゃないかな。
KoKaの表紙は、とにかくにぎやかで楽しいイメージだよね。いろいろな要素を盛り込む中で、一番大事な特集や付録がどんな企画なのか、本屋でパッと見てもすぐわかるデザインであることが重要だ。
それからひとつ、編集部のひみつの作戦を教えちゃおう。本屋で表紙ぜんぶが見えるように陳列してくれていれば最高なんだけど、棚に入ったときに前に置かれた雑誌の後ろに隠れて、表紙が上部分の5cmぐらいしか見えていない場合がよくある。なので、「子供の科学」のロゴの上に、アピールしたい強力なメッセージを配置しているんだ。なんで雑誌名の上にいろいろな文字を入れているんだろう? と思っていた子もいるかもしれないけど、こういう理由があるんだね。
こうしていろいろなデザイン案をつくって、ベストな表紙を選ぶんだ。どれが選ばれたのかは、発売してからのお楽しみ。
チェックの作業はマイタブレットで
これも滅多にお目にかかれない、チェック中の誌面。10月号の特集「ダーウィンから最新研究まで 生き残った進化論」の内容を確認して、修正が必要なところを赤字で書き込んでいる。より正確に、よりおもしろい誌面を目指して、取材協力いただいた先生、著者、編集部員みんなで記事に磨
きをかけていくんだ。
この作業は、コロナ前までは紙にプリントして回し読みしていたけど、今はクラウド上でデータを共有して、タブレットにタッチペンで書き込んで赤字を入れていくようになったぞ。
洪水対策のために地図をチェック!?
バッシュが見ているのは、KoKaを出版している誠文堂新光社のオフィス周辺の地図。実は10月号に掲載する資料の1つなんだ。
10月号の第2特集では、災害対策の研究最前線として、河川の洪水予測について詳しく紹介している。今年も豪雨
による川の氾濫
がいくつも発生し、大きな被害をもたらしているね。洪水の被害を最小限に食い止めるべく、コンピューターシミュレーションにより事前に川の氾濫を予測する研究が進められているんだ。
特集の後半では、みんなにもできる防災対策を紹介している。その1つが、自分が住んでいる地域の川や地形を調べること。地図を見ると、意外な場所にリスクがひそんでいたりするのがわかる。バッシュは編集部員がはたらく誠文堂新光社のまわりがどうなっているか、洪水のリスクをチェックしていたんだ。
大注目の付録は…カードゲーム「トポロメモリー」
なんかいろいろなマークが並んでいる! これは10月号の付録としてついてくるカードの型紙で、切り取って「トポロメモリー」というカードゲームとして遊べるんだ。
「トポロメモリー」は、ボードゲームを開発するバンソウという会社から発売されている人気ゲーム。
「トポロジー」という数学の研究分野は知っているかな? 図形を「構成するパーツ」と「穴の数」だけで区別するという概念で、この考え方を応用してゲームにしたのが「トポロメモリー」。
10月号の付録は、子供の科学特製の「トポロメモリー」がついてくる。本家のゲームにはない、編集部で考案したさまざまな絵柄が登場するよ。みんなに遊んでもらうのが今から楽しみだ!
次の企画立案に向けて…みんなのハガキもチェック
10月号の製作は大詰めだけれど、月刊誌の雑誌編集者は、10月号のことだけがんばっていればいいわけじゃない。同時に次の11月号の取材を進めつつ、さらに12月号以降の企画も考えている。
そんな中で日々、企画の参考にしつつ、編集部員が元気をもらっているのが、読者のみんなからのおたより投稿。
毎日のように届くので、1通1通読んで、新しい企画の参考にしているよ。これからも、みんなが思っていることやKoKaでやってほしい企画など、ハガキやWebのおたより投稿を使ってジャンジャン教えてね。
こんな感じで、熱い思いをこめてつくっている『子供の科学』10月号をお楽しみに!
(文/子供の科学編集部)