理化学研究所
と富士通株式会社が共同で開発しているスーパーコンピューター「富岳
」が、世界のスーパーコンピューターの性能ランキングである「TOP500リスト」、「HPCG」「HPL-AI」「Graph500」において、世界第1位を獲得したゾ!
驚きの「富岳」の計算能力
LINPACK(密行列
の直接解法)というベンチマークプログラムの性能を競う「TOP500リスト」、実際のアプリケーションでよく使われる共役勾配法
で性能を評価する「HPCG」、AIの処理能力性能を評価する「HPL-AI」、ビッグデータ解析に使われる超大規模グラフの探索能力で計算機を評価する「Graph500」の4部門で同時に世界1位を獲得するのは、世界で初めての快挙!
しかも第2位に大きな差をつけたというから驚きだ。改めて日本のスーパーコンピューター開発能力を世界に示したことになる。
「富岳」の前身である「京
」が計算速度世界一を獲得したのが2011年。その後は、中国やアメリカのスーパーコンピューターに世界一の座を奪われた。「京」は2019年に運用を終了し、後継機として開発が進められていた「富岳」の設置が始まった。
その「富岳」の計算速度は、なんと1秒間に41京5530兆回! 2位のアメリカ・オークリッジ国立研究所「サミット」が14京8600兆回、3位のアメリカ・ローレンスリバモア国立研究所「シエラ」が9京4640兆回と2位以下を大きく引き離し、圧倒的な計算能力を持つスーパーコンピューターとなったんだ。
新型コロナウイルス対策でも活躍!
「富岳」は、2021年度の本格稼働を目指して開発が進められている。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大対策の研究を急ぐため、今年4月に「富岳」の計算能力を優先的に利用することになった。
みんなもメディアで、通勤電車やお店の中でどのように飛沫が拡散していくかのシミュレーション映像を見たことがあるんじゃないかな? こうしたシミュレーション解析が「富岳」を使って行われている。
また、飛沫感染やパンデミック現象のシミュレーションだけでなく、新型コロナウイルスの性質を解き明かしたり、治療薬の候補物質を探したりたりする研究にも、「富岳」の能力が活用されているゾ。
スーパーコンピューターは感染拡大のシミュレーションや新薬の開発のように、実験や観測が不可能な現象や、大規模な実験設備をつくるのがむずかしいような研究に活用される。他にも、地震や津波などの災害対策、気象や地球環境の予測、宇宙のしくみの解明、新しいエネルギーシステムの開発などの多方面で活躍が期待されているよ!
(文/子供の科学編集部)