台風と台風がぶつかって合体することはありません
はじめに、台風にともなう風について説明しておきましょう。北半球の台風の風は、反時計回りに渦を巻いて台風の中心に向かって吹き込んでいます。また、上空の風や周りの高気圧から吹き出す風は、台風の進路に影響を与えます。このように台風には自身の強風以外にも、いろいろな風が関わっています。
天気図で台風と台風がぶつかっているように見えることがありますが、実際は台風同士が近づくと(およそ1000km以内)、風が互いに作用しあい、2つの台風は複雑な動きをします。
この現象は大正時代、中央気象台(今の気象庁)の藤原咲平によって提唱されたため、「藤原の効果」と呼ばれています。藤原の効果は6つのパターンに分類されます(図)。一方の台風の周りを他方の台風が回るように進んだり、一方の後をもう一方の台風が追うように進んだりと、さまざまな動きがあります。
(気象予報士 太田陽子)
図 2つの台風が接近したときの動きは、6つのパターンに分けられる。