1÷3=0.333…=1/3は正しいです
確かに1/3 =0.333…の両辺を3倍した1= 0.999…は変な気がします。右辺の小数点の左側は0なのだから、これは1より小さいはずだ、と思いたくなります。でも実際には1と0.999…は等しいのです。これは「数の手品」ともいうべき不思議な現象です。
しくみの理解には本当は高校の数学で習う「極限」の考えが必要です。右辺の数は、0に0.9を足し、さらに0.09を足し(結果は0.99)、さらに0.009を足し(結果は0.999)、ということを繰り返すことで得られています。もしこの操作を途中でやめると、1より小さい値になります。
例えば5回でやめると0.99999だし、10回でやめると0.9999999999です。たくさん9が並びましたが、1-0.99999=0.00001だし、1-0.9999999999=0.0000000001で、1との間にはわずかながら「すき間」があります。
しかし途中でやめることなく、いつまでも繰り返すとしたら、すき間はいくらでも小さくなり、ついにはなくなってしまう(0になる)のです。「途中でやめる」のと「永遠に続ける」のには大きな違いがあるのです。
(近畿大学理工学部理学科准教授 知念宏司)