冷えるときに、網目の中に水分を閉じ込めるため
寒天はテングサやオゴノリといった海藻からつくられています。海藻を煮て、濾過した寒天液を冷やし固めた「ところてん」の水分をしぼり、乾燥させたものを寒天といいます。寒天はアガロースとアガロペクチンという分子からつくられています。この分子は網目状の形をしていて、寒天を煮溶かすと網目がほどけ、ふわふわとひも状に広がります。冷えてくると分子が再び集まって、網目状に戻るのですが、そのときに近くにある水分を網目の中に一緒に閉じ込めてしまうため、冷えるとゼリー状に固まるのです。ゼラチンが固まるのも同じ原理です。
ところで、「食物繊維」という言葉を聞いたことはありますか? ?食物繊維はお腹の中で消化・吸収されない成分で、体の中を通りながら掃除をして、体に悪いものを外へ押し出してくれる働きを持っています。寒天は水分以外のほとんどが食物繊維からできているので、「食物繊維の王様」とも呼ばれています。寒天のカロリーは何とゼロ。 海藻由来のヘルシーな健康食品として今注目されています。
(伊那食品工業株式会社)
図 寒天はゼリー状に固まることで、100倍もの水分を食物繊維の網の中に抱え込む。