なぜ肺や腎臓は2つあるの?

見た目は2つだが、たくさんの区画に分かれている

左右2つあることに特に意味はありません。あえて理由をつけると、限られた体腔内のスペースの事情に合わせたため、でしょうか。
肺も腎臓も、平時はその持てる力の20~30%くらいしか使っていません。つまり、一部しか使用していないのです。残りの70~80%は予備力として保存されており、激しい運動をした場合や、細胞が新旧交替するとき、病気になったときに利用されます。ただ、この状況は、体内のすべての臓器(脳、消化管、肝臓、膵臓など)に共通していて、肺や腎臓に限ったことではありません。
肺や腎臓は確かに見た目では大きく2つに分かれていますが、図のように実はたくさんの区画から構成されています。この区画で数えれば、どちらも決して「2つ」というわけではないのです。その臓器の必要な大きさ(機能区画の数)を体腔スペース事情に合わせたら、たまたま進化の過程で右と左の2つにまとめられてしまった、ということではないでしょうか。
(防衛医科大学校教授 西田育弘)

 肺は左右合わせて19個の肺区画、腎臓は10個の腎区画から構成されている。

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