翻訳機はどうやって翻訳するのですか?

文の意味を理解して、日本語の単語を英語に置き換えます

最初にコンピューターに翻訳をさせようとした人たちは、私たちが学校で言葉を学ぶように、文法と辞書をコンピューターに覚えさせようとしました。これを「規則による機械翻訳」といいます。でも大量の文法や辞書をつくるのは難しかったので、コンピューターが自分で文法や辞書を学習する「統計による機械翻訳」という手法が提案されました。日本語と英語が対になった文を大量にコンピューターに読み込ませて、日本語をどのように英語に翻訳すればよいかをコンピューターに自動的に学習させるのです。
日本語の文に「行きます」という単語があると、同じ意味の英語の文には「go」という単語があることが多い。きっと日本語の「行きます」は英語では「go」というのだろう。日本語の「行きます」は文の最後にあるけれど、英語の「go」は最初の方にあることが多い。日本語の動詞は文末にあるが、英語の動詞は最初の方にあるのだろう。といったことを大量のデータからコンピューターが自分で学習します。統計的な情報を使っているので、実はコンピューターは言葉を理解しているのではありません。
最近では人工知能の技術を使った「ニューラル機械翻訳」という方法が開発されました。これは人間が翻訳をするときと同じように、まず日本語の文を読んで、内容を理解し、その内容を英語の文にするという手法です。「ニューラルネットワーク(神経回路網)」と呼ばれる人間の脳を模擬する技術を使っています。これによって、人間と同じように上手な翻訳ができるようになったといわれています。ニューラル機械翻訳は聞き慣れない言葉を適当に訳したり、訳さないでいたりすることもあります。とても人間的なのかもしれませんね。
(豊橋技術科学大学情報メディア基盤センター教授 井佐原 均)

 統計による機械翻訳のしくみ。

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