なぜ足の裏を触るとくすぐったいの?

くすぐったさを知らせる感覚器はありません

皮膚には形態学的に5種類の皮膚センサーがあります。一方、機能的には、触・圧覚、振動覚、温覚、冷覚、痛覚の5つの基本感覚があります。これらの皮膚センサーと5つの感覚は、1対1では対応していません(図A)。つまり、どの皮膚センサーがどの感覚を検知したかはわからないのです。
また、聴覚や視覚とは違い、皮膚には感覚を認知する中枢神経の担当細胞がないことがわかっています。どの部位が触られているのか、痛いのか、冷たいのか、熱いのかなど、その場所を示す体の部位はわかるのですが、その内容は脳の複数の場所で判断していると考えられています。
足の裏は、大脳皮質中心後回の感覚野の一部が認知していますが(図B)、「足の裏がくすぐったい」という感覚が生じるしくみは科学的にはまだわかっていません。
なお、この感覚認知の“曖昧さ”は、麻痺した手のリハビリや仮想空間体験などに利用されています。皮膚感覚の発生メカニズムは、今後の研究結果が待たれます。
(防衛医科大学校教授 西田育弘)

 皮膚にある感覚器(A)と大脳皮質の感覚野(B)。

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