鏡の反射面で鏡反射が起きるため
光が何かに当たってはね返る(反射する)現象には、大きく分けて2つあります。1つは入ってきた光がさまざまな方向に散らばる「乱反射」で、物体の表面にあるとても小さなデコボコが、光をさまざまな方向に拡散させます(図A)。もう1つは「鏡反射(正反射ともいう)」で、物体の表面が充分に平らなときに、入ってきた光が一方向にだけはね返る現象です(図B)。鏡にはガラスの裏側に、反射しやすいように金属がコーティングしてあります。この面が平らにつくられているので、鏡反射が起こるのです。
もし鏡の面が乱反射を起こすと、物からの光は鏡の面のいろいろな場所で反射して目に届きます。周囲の光も混ざって目に届くので、どこに何があるかはわかりません(図C)。つまり物の形は映らないのです。でも、鏡の面がとても平らで鏡反射が起きると、目に届く「物からの光」は1つの方向に限られます(図D)。このため、どこからどんな光が来ているかがわかり、物の形がわかる=物が映るというしくみです。
(山村紳一郎)
図 乱反射(AとC)と鏡反射(BとD)のしくみ。