アサガオの花の色は土のpHではなく、花びらの液胞のpHによって変わります
そろそろアサガオの季節になってきました。学校でアサガオを育てているという人も多いのではないでしょうか。みなさんにとって身近な存在のアサガオですが、元々は奈良時代に中国から薬草として日本に伝来しました。江戸時代になると大人気になり、多くの品種がつくられました。現在では、日本が世界に誇る花としても有名になっています。東京の入谷で7月上旬に開催される入谷朝顔まつり(朝顔市)は、毎年多くの人でにぎわいます。
さて、質問についてですが、実は、アサガオの花の色は、栽培している土のpH(酸性かアルカリ性かの指標)ではあまり変わらないことがわかっています。しかし、蕾のときと開花したとき、萎んだときとでは色が異なることがありますし、いろいろな色に変化することも事実です。どうして、アサガオの花の色は変化するのでしょうか?
アサガオの花の色は、主にアントシアニンという色素によって決まります。アントシアニンは、リトマス紙のように、溶けている溶液の水素イオン濃度(pH)によって色が変わります。溶液が酸性のときは赤色、中性のときは紫色、アルカリ性のときは青色に変化します。こうした色の変化は、溶けている溶液のpHの変化によって起こるもので、花びらの細胞の中の液胞という部分のpHが決め手となります。
栽培している土のpHを変化させても、アサガオの花の色があまり変化しないのは、花びら(花弁)の細胞のpHは、土のpHには直接には影響を受けないからです。
アジサイの花は、土のpHによって色が変わるとよくいわれますが、実は土のpHだけでなく、アルミニウムの溶解度や吸収量なども影響しています。
いずれにしても、アサガオの花の色は、土のpHとは直接的な関係はないといえるでしょう。
(千葉大学園芸学部 丸尾 達)
写真 入谷朝顔まつりの様子。