前線は暖かい空気と冷たい空気がぶつかってできます
「前線」は、暖かい空気のかたまり(暖気)と冷たい空気のかたまり(寒気)がぶつかったときにできます。暖気と寒気がぶつかっているところを「前線面」といい、地面に前線面が接しているところを「前線」といいます。前線はその特徴によって「温暖前線」、「寒冷前線」、「閉塞前線」、「停滞前線」の4つに分けられます。
まず、暖かい空気は軽く、冷たい空気は重いこと、北半球では暖気は南、寒気は北に位置することを確認しておきましょう。
「温暖前線」は暖気の勢いが強く、寒気の上に這い上がるように進んだものです。一面に雲が広がり、乱層雲により広い範囲にシトシトと雨が降ります。前線通過後は南寄りの風に変わり気温が上がります。
一方、「寒冷前線」は寒気の勢いが強く、暖気の下に寒気がもぐり込んでいます。暖気が急に持ち上げられ積乱雲となるため、狭い範囲でザーッと雨が降り、雷、ひょう、激しい雨となることがあります。前線通過後は、北寄りの風に変わり気温が下がります。
温帯低気圧では、低気圧の前方に温暖前線、後方に寒冷前線が位置します。温暖前線より寒冷前線の方が速く進むため、低気圧が発達すると、温暖前線に寒冷前線が追いついてしまい、2つの前線は重なります。この前線が「閉塞前線」です。閉塞前線ができた低気圧はやがて弱まっていきます。
暖気と寒気の勢いが同じ場合、両者が押し合うため、前線は動けません。このような前線が「停滞前線」です。前線付近では厚い雲ができ、ぐずついた天気が続きます。梅雨前線や秋雨前線は停滞前線によるものです。
(気象予報士 太田陽子)
図 前線のしくみ。