地球でつくられ、重力が引き止めているから
まず最初に「なぜ地球に空気があるのか?」を考えてみたいと思います。大昔の地球は、水蒸気や二酸化炭素、窒素などのガスが空気(大気)をつくっていました。やがて水蒸気は冷えて雨となり海をつくり、水に溶けやすい二酸化炭素が海に溶け込みました。その後、海の中で誕生したシアノバクテリアという細菌が、海の中の二酸化炭素と太陽の光で光合成を行い酸素をつくり出して、やっと生き物が呼吸できる現在の空気ができたのです。つまり、空気は地球でつくられたものなのです。
空気がつくられているといっても、広大な宇宙を埋め尽くせるほどの量ではありません。空気は地面から離れて高いところにいくほど薄くなり、標高約9000mの山エベレストでは地上の半分以下、3分の1しかありません。通常、登山家たちは酸素ボンベを背負って登っています。スペースシャトルが飛ぶ上空300kmではおよそ1兆分の1。ほぼ真空の状態です。地球を直径1mのボールだとしたら空気はほんの1mmの厚さで地球をとりまく薄い層なのです。
なぜ空気は地面近くの下の方に沈んでいるのでしょうか? なぜ宇宙へ広がっていかないのでしょう? それは空気にも重さがあるからです。私たち人間や身の回りの物が地球の重力に引かれているのと同じように、重力で引き寄せられているのです。逆にいえば、もし地球が水星くらいの小さな惑星だったら、重力が弱すぎてせっかくつくられた空気は宇宙へ逃げて行ってしまうことでしょう。実際、水星には大気がほとんどありません。もし地球に空気がなければ生命の進化もなかったでしょう。
当たり前のようにある空気も宇宙から見れば、地球にしか存在しない貴重な命の源なのです。
(室井恭子)
図 地球に引き寄せられる空気