積乱雲が通り過ぎるから
さっきまで晴れていたのに突然の雷雨。
このような天気の急変は「積乱雲」によるものです。積乱雲は「入道雲」や「雷雲」とも呼ばれ、短時間の大雨、雷、突風、ひょう、竜巻といった大荒れの天気をもたらします。
積乱雲は雲の中の上昇気流がとても強いため、上へ上へと発達します。そしてそのてっぺんは10km以上の高さになることもあります。上昇気流によって水蒸気が上空で冷やされ、雨やひょうの元となる氷の粒ができます。また、これらの粒がぶつかり合うことで静電気を生じ雷が発生することもあります。
1つの積乱雲の水平方向への広がりはおよそ数kmから十数kmの範囲です。そして1つの積乱雲による現象は、30分から1時間程度の時間と、せまく限られた範囲・時間で起こります。そのため、積乱雲が通過すると天気が急に変わるのです。
地上に暖かい空気、上空に冷たい空気があると、暖かい空気は上へ向かい、冷たい空気は下へ向かうため「大気の状態が不安定」になり、湿度が高いと積乱雲が発達しやすくなります。
雷の音が聞こえてきた、黒い雲が近づいてきた、急に冷たい風が吹いてきた、これらは天気急変のサインです。安全な場所に避難しましょう。
(気象予報士 太田陽子)
図 積乱雲による天気の急変