熱帯低気圧がどんどん強くなってできる
台風は南の暖かい海で生まれ、成長して日本にやってきます。台風の正体は発達して強い勢力を持った熱帯低気圧。熱帯の海で発生する低気圧です。
熱帯の海は強い太陽の日射しを受けるため、水温が26℃~27℃以上と温かく、海の表面からたくさんの水が蒸発して水蒸気(気体の水)が発生しています。
暖かく水蒸気をたくさん含んだ空気は軽く、またこの付近では貿易風という東よりの風が南北から集まっているため、上昇気流となって上空に昇っていきます。上空の気温は低いため、水蒸気は冷やされ、小さな水滴となり雲をつくります。こうして熱帯低気圧のもととなるたくさんの積雲や積乱雲(ザーッと強い雨を降らせる雲)が発生します。
液体が気体になるときはエネルギーを必要とするため、熱を吸収します。一方、気体が液体になるときは不要になったエネルギーを外に出すため、熱が発生します。つまり、水蒸気から雲ができるとき、たくさんの熱が発生します。この熱は空気を暖め、上昇気流をより強めます。昇った空気を補うため、周りから空気が流れ込み、さらに地球の自転の影響をうけて、左回りの風の「渦」となります。このようにして熱帯低気圧ができるのです。
熱帯や亜熱帯の海は水温が高いため、熱帯低気圧が発達するエネルギー源となる水蒸気が次々と補給されます。たくさんの雲ができ、熱帯低気圧の中心に吹き込む風もどんどん強くなり、やがて激しい「渦」に発達します。
そして最大風速が17m/s以上になったときに、台風と呼ばれるようになるのです。
(気象予報士 太田陽子)
図 台風ができるまで。