神経が麻痺するため
肘関節の内側を強く打ったとき、しびれているのは同じ腕の小指およびその周辺です。これは、肘関節内側の皮膚のすぐ下を走る尺骨神経への打撃によるビリビリ感(神経打撃痛)と、その後のジンジン感(麻痺)によって起こり、数分後にはすべてがとれて、元の正常な状態に戻ります。
神経には、その部位や種類によらず、外からの力によって一瞬興奮し、その後短時間麻痺するという性質があります。肘を打ったような打撃による興奮とその後の麻痺は、神経や骨格筋など、興奮性細胞(電気活動をする細胞)の一般的性質です。この他にも正座しているときのように圧迫されて血が止まったときにも、神経に麻痺が生じます。
ところで、“しびれ感”という言葉には、ここに登場したビリビリ感やジンジン感などの他にもさまざまな感覚異常があります。医師はどんな感覚かをよく聞くことで、発生原因を判断することができます。
(防衛医科大学校教授 西田育弘)
肘の内側を通る尺骨神経