白髪になるのはなぜ?

メラニン色素がつくれなくなり、白髪となる

年をとって髪の毛が白くなる白髪。誰もが知っている身近な現象ですが、そのメカニズムが解明され始めたのは近年になってからです。
黒い髪色のもとになっているのはメラニンという物質です。白髪はこのメラニン色素がなくなってしまった状態です。メラニンはどうして減ってしまうのでしょうか。
皮膚の上からは見えない、髪の根元を支えている部分を毛包といいます(図1)。メラニンは毛包の奥にある色素細胞と呼ばれる細胞でつくられています。ここには髪の毛をつくる細胞もあり、色素細胞からメラニンを受け取って黒い髪を成長させます。色素細胞は色素幹細胞という細胞からつくられますが、色素幹細胞は毛包の中ほどにある「バルジ領域」にあります。年をとってくると、この色素幹細胞がだんだん減ってくることがわかっています。すると、色素細胞がつくれなくなり、白髪が生えてしまうのです。
白髪が生え始めるのは人によって大きな差がありますが、30代後半から40代で始まる場合が多いようです。色素幹細胞がなぜ減ってしまうのか、その詳しい理由はまだわかっていません。また、色素幹細胞は残っていて一時的にその働きが鈍っているというだけであれば、黒い髪がまた生えてくる可能性はあります。
(東京医科歯科大学難治疾患研究所教授 西村栄美)

図1 メラニンが受け渡されるしくみ 
色素幹細胞から色素細胞がつくられ、さらにメラニンが生成される。
年をとると色素幹細胞がなくなり、白髪が生えるようになる。

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