ヘリウムが空気よりも速く音を伝えるから
ヘリウムガスを吸うと、高くておもしろい声が出るようになりますね。この不思議な現象の理由は、声が出るしくみと音が伝わる速さにあります。
私たちが発声するときは、まず肺から空気が出て、その空気が喉にある声帯という膜の震えによって音の波になります。そして、口を出るまでの声道という空間で、音の波が響き合い、共鳴することによって音になります。
ヘリウムはとても小さく動きやすい分子です。そのため、音を普通の空気の約3倍の速さで伝えます。ヘリウムガスを吸って肺から空気を出すと、空気が通常よりも速く音を伝えるので、声道で共鳴する音の振動数も高くなり、高い声になって聞こえるのです。一部の楽器なども声と同じく共鳴を利用して音を出しているので、例えば、管楽器のリコーダーにヘリウムガスを流すと高い音になります。また、反対に音の伝わりが遅い二酸化炭素を流すと、低い音が出るようになります。
パーティーグッズなどの声を変えるガスには、周りの空気と同じようにヘリウムと酸素が4対1の割合になるように酸素が入れられています。風船や飛行船を浮かび上がらせるのに使われるような100%のヘリウムガスを吸うと、倒れたり、窒息して死んでしまうこともあります。絶対に吸わないようにしましょう。
(佐倉美穂)