鼻粘膜を清潔にし、ウイルスや菌を殺すため
鼻はにおいを感じる器官ですが、吸い込んだ空気のちりを除いて、加湿・加温する役割も持っています。吸い込んだ空気は主に中鼻道を通って鼻の中に入ります(図1)。
鼻の内側を覆う鼻粘膜には、杯細胞と鼻腺と呼ばれる粘膜腺があります。これらがつくる粘液は、鼻粘膜の表面を覆うとともに、加湿の素になっています。
鼻粘膜にアレルギー反応やウイルス感染が起こると、鼻粘膜の知覚神経を介して副交感神経が興奮し、鼻腺がより多量の粘液をつくり出します。粘液は鼻粘膜表面を洗い出して清潔を保ちます。同時にリンパ球が抗体をつくって粘液に混合し、ウイルスや菌を殺す作用も起こります。そして、この粘液が鼻口から出てきたものが鼻水というわけです。
泣いたときに鼻水が出るのは、鼻の中には鼻涙管と呼ばれる管があり、眼球から涙が流れてくるからです。普段も少量の涙が鼻の中へ流れていて、鼻水の一部には涙が含まれています。
(防衛医科大学校教授 西田育弘)
図1 鼻の構造
吸い込んだ空気は中鼻道を通過する間に70%のちりが除かれ、
温度約30~37℃、湿度約80~90%になります。