水の中ではレンズの屈折が弱まるため
虫眼鏡はレンズでできている。レンズは、光の進行方向を変えて1か所に集めたり(凸レンズ)、広げたり(凹レンズ)するが、このときに利用しているのが屈折のしくみだ。
屈折とは、物質の境目で光が折れ曲がる現象のこと。光は真空中が最も速度が速く、空気の中ではごくわずかに遅くなり、水やガラスの中だと、さらにもう少しだけ遅くなる。物質同士の間で光の速さに違いがあると屈折が起こり、速度差が大きいほど、曲がる角度も大きくなる(図)。
空気とガラスやプラスチックなどのレンズ材料との間で起こる屈折が充分に大きいことが、レンズが作用するために必要なんだ。でも、水とレンズ材料の場合、光の速度差があまりなく、屈折がほとんど起こらない。そのため、海の中では虫眼鏡が使えなくなるというわけ。
(山村紳一郎)