低温障害で果皮にポリフェノールが生成されるから
日本には 世界中から多くの果物が輸入されますが、それらの果物の育った環境は千差万別です。それにもかかわらず、すべて冷蔵庫で保存してはいないでしょうか?
家庭用冷蔵庫の冷蔵室温度はおよそ5℃程度。南国育ちの果物には、冷蔵庫に入れると傷みやすいものもあるので注意が必要です。熟したバナナの保存適温は15℃程度で、13℃以下では低温障害により果皮が変色します。これは、果皮にポリフェノールが生成されるためです。長期間たっていなければ内部の果肉も白いままなので、おいしく食べられます。
バナナの購入後は、室内で熟させ、果皮に黒い斑点が出る食べごろの少し前に、1本ずつラップに包んで冷蔵庫の野菜室(約7℃)に入れて保存するとよいでしょう。
ちなみに、日本で流通しているバナナはほとんどが輸入品ですが、害虫の問題から、輸入されるのはすべて緑の状態のバナナ。これを人為的に熟させて、流通・販売しているので、その際にも正しい熟成・保存方法が求められますね。
(千葉大学園芸学部 丸尾 達)
果皮に現れる黒い斑点は「シュガースポット」と呼ばれる、
食べごろサインです。