恒星や星雲が集まった天体で、数千億個以上あるとされる
天の川を見たことがありますか? 街明かりがなく、月が昇っていない夜空であれば、その美しい姿を見ることができます。天の川は、宇宙に多数ある銀河の1つ“天の川銀河”を太陽系から見た姿で、太陽系はその中にあります。天の川銀河は直径が10万光年ほどの円盤状に恒星や星雲が集まった天体で、そこには数千億ほどの恒星があると推定されています。
宇宙には、このような銀河が他にもいろいろあり、アンドロメダ銀河(写真1)や子持ち銀河(M51)、おとめ座のM87、大マゼラン銀河などが有名です。銀河は見かけの姿から、渦巻銀河と楕円銀河に大きく分けられます。渦巻銀河は恒星の濃淡が渦巻状に見えますが、楕円銀河は恒星が楕円形に集まっているだけで目立った模様がありません。
銀河は宇宙に満遍なく散らばっているのではなく、その分布には濃淡があります。例えば、天の川銀河は直径が5億光年もあるラニアケア超銀河団に属しています。超銀河団も宇宙では多数見つかっていて、隣り合う銀河団を繋ぐ位置にも多数の銀河があります。逆にいえば、銀河がほとんど存在しない銀河空洞(ボイド)の周囲に多数の銀河が分布しているのです。こうしてできた銀河の濃淡による“泡”が宇宙全体に広がっていると考えられています。
では、宇宙全体では銀河はどのくらいあるのでしょうか? これは予想以上に難しい質問です。宇宙全体の様子はまだ完全にはわかっていない上に、遠くになると明るい銀河しか見つけられないからです(写真2)。それでも、何とか見当を付けてみましょう。例えば、宇宙の平均密度と大きさを使って、地球から観測できる宇宙全体にあるすべての星の重さを予想し、これを天の川銀河の重さで割ると、銀河の数は400億個ほどになります。しかし、これはかなり大雑把な見積もりなので、10倍程度は間違っているでしょう。実際、数千億個以上と推定する天文学者が多いようです。
このような未解決の疑問が宇宙にはたくさんあります。そう思うとなにかワクワクしませんか。
(鹿児島大学教授 半田利弘)
写真1
有名な渦巻銀河の1つであるアンドロメダ銀河。
(写真提供/東京大学 天文学教育研究センター 木曽観測所)
写真2
映っているのは星ではなく、すべて別々の銀河。
それまで何も見えなかった夜空の一角でも高感度の望遠鏡で詳しく調べると、
このように無数の銀河が見つかる。
(NASA; ESA; G. Illingworth, D. Magee, and P. Oesch, University of California,
Santa Cruz; R. Bouwens, Leiden University; and the HUDF09 Team)