間違い。数時間程度で甘く変化することはありません
ミカンを皮ごと揉むことで、実が甘くなるという話を聞いたことがあるでしょうか? 「甘くなる」根拠としてしばしば、「揉むことで果実の呼吸速度が上昇し、果実中のクエン酸が呼吸エネルギーとして消費され、濃度が低下する。一方、糖濃度は低下しないので、相対的に甘く感じるようになる」という、もっともらしい説が出されています。
クエン酸が柑橘類の酸味となっているのは確かですが、クエン酸濃度は呼吸消耗によって急速に低下しないので、数時間程度で実際に甘く感じるようなことはないと思われます。おそらく、この説は迷信でしょう。
ミカンは、産地や収穫時期、貯蔵期間などによって品質が大きく異なります。おいしさに重要なのは、糖と酸のバランス。最近は光センサーを用いて糖や酸濃度を測って、等級分けしたものもあります。
一般においしいと感じるミカンの糖度は、11度~14度のようです。適度の糖と酸の、おいしいミカンを選びましょう。
(千葉大学園芸学部 丸尾 達)
ミカンは揉んでも急に甘くなることはありません。