空気中の分子とぶつかって止まりながら進むから
雷は雷雲(積乱雲)の中で生じる電気による現象です。冬によく静電気が発生しますが、暗いところではぴかっと光って見えることがあります。雷はこの現象が大きな規模で起こったものです。
稲妻が曲がる理由の前に、まず雷のしくみを説明しましょう。積乱雲は入道雲とも呼ばれ、もくもくと上へ成長します。これは雲の中に強い上昇気流があるためで、気流が上昇すると、雲の中の非常に小さい氷の粒(「氷晶」)と大きな氷の粒(「あられ」)がぶつかり合い、氷晶はプラス、あられはマイナスの電気を持つようになります。重いあられが下、軽い氷晶が上となり、やがて雲の中に電気がたまると、雲と地面の間や雲の間に電気が流れだします。これが雷です。
空気は電気を通しにくい気体です。雷は、空気中の分子とぶつかりながらおよそ100万分の1秒間進んでは少し止まって、できるだけ進みやすいコースを辿ります。そのため、稲妻はギザギザな形となるのです。
(気象予報士 太田陽子)
雲間の雷、2014年7月20日。