表面張力と油分を利用して浮いている
アメンボの足先を見てみると、細かい毛がびっしりと生えている。アメンボはこの細かい毛で水をはじくことにより、水面に浮くことができる。
より詳しく説明すると、水を含めて液体には表面積をできるだけ小さくしようとする表面張力という力が働く(水滴ができるのはこのためだ)。この力のおかげで毛と毛の間に水が入り込まず、結果としてアメンボは沈まずにいられるんだ。
ただ、表面張力の力はそれほど強くない。アメンボは体が細長くて小さいわりに、足が非常に長い。このような体型のおかげで、広い範囲で表面張力の力を受けられるようになっている。
もう1つ、アメンボは水面に浮くためのうまいしくみを持っている。アメンボは体から油を出して足先の毛に染みこませており、この油のおかげでより強く水をはじくことができる。だから、油を溶かしてしまう作用がある洗剤などが含まれる水の上では、うまく浮くことができない。そのためアメンボは、家庭用排水や工業廃水が流れ込んでいない、比較的きれいな水の上にしか棲めないんだ。
(農業生物資源研究所 神村学)
最も普通に見られるアメンボであるヒメアメンボの足先の拡大写真。多数の毛が生えているのがわかる。