求愛のサインだと考えられているが、まだ多くの謎が残っている
まず、ホタルがどのようなしくみで光るのか説明しましょう。ホタルの発光は化学反応によるものです。化学反応とは、物質同士が反応して違う物質に変化することをいいます。ホタルの場合は、「ルシフェリン」という物質が酸素とくっついて光を出し、「ルシフェラーゼ」というタンパク質がその化学反応を手助けしています。
次に、ホタルが光る理由についてですが、ホタルの発光はオスとメスの出会いのためと考えられています。ただ、この役割のためであれば光る必要のない、産卵が終わったメスや卵、幼虫、サナギも光るので、発光の目的がオスとメスの出会いだけではないことがわかります。一説には、体内にあると毒として作用する酸素をなくすために化学反応し、そのおまけで発光するため、光には特に役割はないと考えられることもあります。
最近の研究では、ホタルのサナギは尻だけでなく頭も光り、それぞれが違ったしくみによることが発見されました。まだまだ、ホタルの光るしくみや役割には多くの謎が残されています。
(豊田ホタルの里ミュージアム 川野敬介)
頭部も発光しているゲンジボタルのサナギ。撮影/豊田ホタルの里ミュージアム