胸に鳴管という声をつくる器官がある
人間ののどに「声帯」という器官があることを知っているかもしれない。歌ったり話したりできるのも声帯があればこそ。これに対して、インコなどの鳥
は、胸の中、肺の近くに「鳴管」という器官を持っている(図)。鳥の声やさえずりを生んでいるのが、この鳴管だ。「あいうえお」など、違う音を出すとき、人間は口の形と舌の形をいろいろ変えて「音」をつくっている。インコも同じように、胸の鳴管やのど、筋肉が発達した舌をうまく変化させて、人間
の言葉のような「音」をつくっているんだ。
インコにとって「声」はもともと、仲間との重要なコミュニケーションの手段。自分の状況や気持ちを、動作と声で伝えている。遠くから仲間に呼びかけるのも声だ。人間と暮らし始めたインコはすぐに、人間も自分たちと同じように声でコミュニケーションしていることに気づく。人間の言葉そっくりな声を出せるようになれば、人間ともいい関係になれて、群れの一員のように暮らせるはずとインコは考える。話した言葉を聞いて家の人が喜んでくれると、うれしくなって、もっとたくさん覚えようと思うみたいだよ。朝夕のあいさつや自分の名前は、毎日何度も聞くので、インコにとって覚えやすい言葉なんだ。
(細川博昭)
人間はのどにある声帯で声をつくるが、インコは胸にある鳴管で、まるで人間が話す声のような音をつくる。