花火玉に詰める星の配置によります
花火にはいくつか種類がありますが、ここでは夜空で真ん丸く開く「割物」という種類で説明します。下の写真は割物の一種の「八重芯牡丹」という名前の花火です。この花火玉の中身は図のようになっていて、大きく分けると「星」(色を出す部分の火薬の粒)と「割り薬」(星を飛ばすための火薬)の2つで構成されています。花火玉をつくるには、球形の玉皮(容器)の中に星を球状に並べて、中央に割り薬を詰めていきます。花火が開いたときにできる模様は、このときに星を詰める配置によって決まってきます。また、割物の場合は空で真ん丸く開くことも模様をきれいに見せる要素となっています。花火玉を仕上げるときには玉皮の表面に丈夫な紙を何枚も貼り固めていきますが、中央の割り薬の威力と、玉皮の紙の貼り具合とのバランスがとれていることで、星が均一に飛び散って、真ん丸く開花して、ゆがみのないきれいな形になるのです。
また、花火できれいな色ができるのは、火薬に混ぜてある薬品に含まれる金属のおかげです。金属は、炎の中に入れるとその金属に特有の色の炎を出します。この反応を炎色反応といいますが、花火の色はこの性質を利用しています。例えば、赤色は炭酸ストロンチウム、青色は酸化銅を配合します。これら、色を出すための薬品を色火剤と呼んでいて、これと、酸化剤(過塩素酸カリウムなど)、可燃剤(木炭やレッドガム、マグネシウムなど)を配合して炎色反応を起こさせます。炎色反応による光の色だけでなく、煙も花火の重要な要素ですが、煙は染料などを蒸発させることで、空中で煙の色が見えるように散布させています。
(協力:(公社)日本煙火協会)
写真 打上げ花火の「割物」の一種「八重芯牡丹」。((公社)日本煙火協会)
図 花火玉の構造(「八重芯物」の例)。