暗黒星雲のちりによってできた微惑星が元になっている
君は太陽がどうやってできたか知っている? 太陽は今から50億年ほど前に暗黒星雲が重力で縮んでできました。暗黒星雲は9割が水素、1割がヘリウムでできていますが、それ以外に炭素やケイ素などからなるちりも含まれています。
太陽ができるとき、その周りには少し遅れて集まってきた物質で回転する円盤ができ、円盤の内部ではちりがくっつき合って固体からなる小さな天体がたくさんできます。これを微惑星といいます。
微惑星のほとんどは互いにぶつかって合体し、やがて現在の火星くらいの星が数十個くらいできます。これを原始惑星といい、地球や他の惑星の原形になりました。現在の太陽系で惑星がほぼ同じ平面上を公転しているのは、元が円盤だったからなのです。
一方、一部の微惑星は合体できずにそのままの形で残ったり、いったん原始惑星になったものの衝突で砕けたりして、惑星よりもずっと小さな天体となり、現在も太陽の周囲を回っています。小惑星や彗星、冥王星はこうしてできました。「はやぶさ2」や他の探査機で小惑星を調べる目的の1つは、できたころの太陽系の様子を残していると考えられるからなのです。
現在の地球にぶつかってくる隕石のほとんどは非常に小さな小惑星です。つまり、地球の元になったのは、隕石そのものではないのです。
では、暗黒星雲の中のちりはどうやってできたのでしょうか? 太陽に代表される恒星は内部で核融合反応が起きています。これが光り輝くエネルギーの元ですが、その結果として水素からヘリウムや炭素、酸素、ケイ素などの元素ができるのです。これが恒星の爆発などによって宇宙空間にまき散らされ、水素と混ざったものが暗黒星雲となるのです。
ここまで歴史をさかのぼると、地球の材料は、50億年以上昔に爆発した恒星から来たのだということもできるでしょう。
(鹿児島大学理学部 半田利弘)
図 馬頭星雲。太陽系は、このような暗黒星雲から生まれたと考えられている。
(NASA, ESA, and The Hubble HeritageTeam( STSci/AURA)