発達した低気圧が進むと、西高東低の冬型になるから
「寒の戻り」や「早春寒波」という言葉があるように、春一番の後はまた寒くなります。気象庁が春一番を発表する目安は関東地方の場合、①立春(2015年は2月4日)から春分(3月21日)までの間、②日本海に低気圧があること(天気図左)、③強い南よりの風(風向は東南東~南~西南西、風速8m/s以上)が吹くこと、④気温が上昇すること。この4つの条件がその年に初めてそろった場合です。春一番の南風は日本海を進む発達中の低気圧に吹き込む風で、ときに突風になることもあります。
では、なぜ再び寒くなるのでしょうか。これは発達した低気圧が北海道沖の東海上やオホーツク海に進むと、西に高気圧、東に低気圧の冬型の気圧配置となるため(天気図右)。等圧線は南北にのびる縦縞模様となり、等圧線の間隔が狭いほど風は強まります。冬型の気圧配置では大陸から寒気が吹き出し、日本付近に冷たい北西の季節風をもたらします。このとき、日本海側では雪、太平洋側では冷たい風により気温が下がるのです。
(気象予報士 太田陽子)
地上天気図(気象庁ホームページより)。Lは低気圧、Hは高気圧を表す。
左は九州北部・四国・中国・関東地方で春一番が吹いた2013年3月1日。
右は翌3月2日の冬型の気圧配置。
この日は最高気温が前日より10℃以上低い地点があった。