体温の調節をしていた
ステゴサウルスの背中には、たくさんの骨の板が並んでいます。この骨板は、かつては横に(水平に)倒すことができたと考えられていて、その様子が屋根のように見えたことから、「Stego(屋根の意味)」の名前がつけられました。
近年、大阪市立自然史博物館の林昭次博士たちが、この骨の板を詳しく観察しました。その結果、その表面には細い血管が通っていて、そして骨板の中へとその血管が続いていることがわかりました。このことから、骨板を使って体温を調節していたという考えが有力になっています。骨板を日光に当てると、そこを通る血液も温まります。血液が温まると体も温まるので、ステゴサウルスは短い時間で動きやすくなったというわけです。一方、体温が高くなりすぎた場合は、木陰で風を骨板に当てることで体温を下げることもできたでしょう。
流れる血液の量を調整すれば、骨板の色を変えることもできたかもしれません。そうすることで、肉食恐竜を威嚇したり、仲間うちで何らかのアピールをしていたとも考えられています。
(土屋 健)
ステゴサウルスの想像図。背中にたくさんの骨の板が並ぶ。
骨板の化石を詳しく観察すると、血管や栄養孔があることがわかった。
(画像提供/林 昭次)