年齢はわからないが寿命が近いことはわかる
この星はもうすぐ寿命をむかえるお年よりの星です、なんていうことを聞いたりしますが、実は、その星がいま何歳なのかを正確にはかることはできないのです。
わかるのは、その星が生まれたばかりなのか、寿命が近いお年よりの星なのか、その間(主系列星)なのか、というおおまかなことです。星は、一生の大半を主系列星の状態で過ごします。寿命が近くなると星はふくらみ、赤く巨大な星(赤色巨星)になります。この状態になると見た目にも赤く光って見えるので、あの星はもうすぐ寿命をむかえるんだとわかるようになります。でも、主系列星である間は、見た目には変わらないので、主系列星になってから何年たったのかを知るのは難しいのです。
では、星の寿命はどのくらいあるのでしょうか?
太陽や夜空の星は、水素を燃料とした核融合反応によってエネルギーを生み出し光りかがやいています。したがって、星の寿命はその燃料がどのくらいあるか、そしてどのくらいの速さで燃えるか、で決まります。燃料が多いほうが長生きできそうな気もしますが、多ければ多いほどはげしく燃えて早くなくなってしまいます。つまり、水素の量が多い星(重い星)ほど寿命は短くなり、逆に、水素が少ない軽い星ほど長生きするのです。たとえば、太陽の寿命は100億年くらいです。太陽の10倍重い星だと約2600万年、100倍重い星は約270万年でその一生を終えます。逆に、太陽の半分くらいの軽い星は約1700億年かがやき続けます。
さて、オリオン座にあるベテルギウスは、赤くかがやく星ですね。寿命が近い星です。そしてその質量は太陽の20倍くらい重いと考えられているので、寿命はおよそ1000万年です。つまり、今は1000万歳のちょっと手前、おおよそ数百万歳といえるわけです。
星は寿命が近くなると赤色巨星になる。寿命が近いベテルギウスは太陽の500~1000倍、太陽系の軌道と比べるとこんなに大きくふくらんでいる赤色巨星だ。
室井恭子