大根本来の色はもともと透明に近い
大根はもともと透明に近い細胞や繊維質と水とでできていますが、その間には細かい空気の粒がたくさん含まれています。このため、細胞や繊維質と空気とのさかいめで、光がさまざまな方向に屈折・反射します。すると、いろいろな光が混ざって目に届くので、色のかたよりがなくなり、明るければ白っぽく見えます。煮る前の大根が白く見えるのはこのためで、透明な水を凍らせた雪が白く見えるのと同じです。
しかし、大根を煮ると、繊維などが柔らかくなったりこわれたりするため、空気が逃げ出して水がしみこみます(大根をおろしても同じです)。すると、屈折や反射が弱まり、大根をつくっている物質の本来の色が見えるようになるのです。
山村 紳一郎 (サイエンスライター)