昆虫の心臓は人間とは形も大きさも違う
人間の心臓は血液を体のすみずみまで送りこむポンプの役目を果たしているわけだけど、昆虫にも血液があって(イモムシを傷つけると緑色の液体が出てくるね。それが血液だよ)、人間と同じように心臓をドキドキさせることによって血液を運んでいるよ。
でも、昆虫の心臓は、人間の心臓とは形もある場所もずいぶん違う。人間の心臓は丸くて左胸にあるよね。でも、昆虫の心臓は細長い管のような形をしていて、体の後ろの方の背中に沿ってあるんだ。だから、背脈管とも呼ばれている。長さは体長の半分くらいかな。血液は体の後ろの方で心臓に流れ込み、前の方(頭がある方)に送られて、そこから全身にいきわたる。 でも、人間と昆虫では血液の運ばれ方に大きな違いがあるんだ。人間では血管が体中に張り巡らされていて、血管を通って血液が運ばれるよね。でも、昆虫には血管がなく、心臓から出た血液は体のさまざまなところにしみこんでいく。
このように、昆虫の心臓や血液の流れ方は、人間のものとはずいぶん違っているんだ。
カイコ幼虫。四角く囲った部分の背中に沿ってある線が心臓の中心部で、じっくり観察すると脈動も確認できる。
神村学(農業生物資源研究所)