とけていた空気が泡になる
湯船や体につく小さな気泡の正体は、ほとんどが水に溶けこんでいた空気だ。水道水は、水源である河川などから蛇口に届くまでの間、そして湯船に汲むときなどに、何度となく激しくかき混ぜられる。このときに空気が少しずつ溶けこんでいく。
だから、水道水には、普通の状態より空気が少しだけ多く溶けている。湯船などに入れておくと、そのぶんの空気が泡になって出てくる…というしくみだ。なお、溶けている気体は、何かの表面にぶつかったときに泡になりやすい。その表面がすべすべでなく、小さなでこぼこがあればなおさらだ。だから湯船の壁(特に汚れが残っている部分など)や、皮膚、体毛に泡がつくわけ。なお、このしくみは空気以外の気体、たとえば二酸化炭素(炭酸ガス)でも同じ。炭酸ガスの溶けているサイダーなどに、つるつるのガラス棒とざらざらの割り箸を入れ、泡の出方を較べてみるとその違いがよくわかる。
山村 紳一郎 (サイエンスライター)