危険をアピールしたり、身を守るための 模様になっていることが多い
昆虫の色や模様ってとても変化に富んでいるよね。特に、日中活動する昆虫によく目立つ色や模様をした種類が多いんだけれど、これらの虫はほかのだれかに見られるためにそのような姿をしていると考えられる。
では、だれに見られるためなのか? まずは、同じ種類のほかの個体だ。例えば、チョウの仲間では、メスが翅の色や模様を見せることでオスを惹き付ける例が知られている。また、他の種類の生き物に自分がいることを知らせるために派手な色や模様をもった昆虫もいるよ。代表例はハチだ。ハチの仲間に刺されるととても痛いよね。そのため、鳥などは一度刺されると、同じ姿のハチを見ても襲わなくなる。だから、あえて目立つ覚えやすい姿をしているんだ。ハチの黄色と黒との縞模様は“危険だよ”という合図なんだね。同じように、苦い液体を出すため味の悪いテントウムシの仲間も派手な姿をしている。
さらに、自分自身は無害なんだけれど、このように危険だったりおいしくなかったりする昆虫によく似た色、模様を持つことで、鳥などから食べられないようにしている虫もいる。これを“擬態”といって、例えばハチに似たハナアブの仲間が代表例だ。一方、それとは逆に、周りとよく似た色、模様を持つことで敵から見つからないようにしている虫もいるよ。例えば、沖縄にいるコノハチョウは翅の裏面が木の葉にそっくりなため、翅を閉じて止まるととても見つけにくいんだ。
このように、昆虫の色や模様は様々な役割を果たしているんだね。
オレンジと黒の縞模様が目立つオオスズメバチ。強い毒を持っていて危険なので、絶対にさわらないこと
ハチによく似た姿をしているけれど無害なシマハナアブ。
神村学 (農業生物資源研究所)