甘いミカンと甘くないミカンはなにがちがうの?

樹の状態や果実が着生している場所などのちがいで甘さがかわる

お店で買ったミカンには、甘いものと酸っぱいものが混ざっている場合があります。産地の選果場で大きさ・色・形など細かく選別されて箱詰されたミカンは、外見上ほぼ同じに見えますが、同じ箱の中のミカンでも、畑や生産者が異なるミカンが混ざっていることも多いのです。しかし、原因はそれだけではありません。ミカンは他の果樹と同じように、挿し木などで増殖するので、品種が同じであればどこの果樹園のどの樹でも遺伝子レベルで同一です。ではなぜ、甘さに違いが出るのでしょうか?

ミカン園には多くの樹があり、それぞれ樹の大きさや年齢、肥料や水の多少、病害虫の影響などその状態は千差万別です。また、同じ樹でも南側に着いた果実と北側についた果実では光環境も大きく異なりますし、枝の先端と基でも条件がちがってきます。一般に温州ミカンでは、葉20~25枚に1果の割合(葉果比)になるよう果実の数を制限しますが、全く同じにはできません。甘さは、これらの要因が重なり合って決まるのでバラツキが出るのです。

最近販売されている、専用の光センサーで甘さを測定して甘さ別に選別したミカンは、甘さにバラツキがありません。試してみましょう。

丸尾 達 (千葉大学園芸学部 准教授)

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