大雨のときには雷がなるけれど、雪のときも雷はなりますか?

日本海側で雪を降らせる雷が鳴ります。
 ご質問いただいた方は、太平洋側にお住まいの方かと思います。日本海側は冬期に雷が鳴って雪が降ります。そのうちとくに初冬の11月下旬から12月上旬ごろにかけて、西高東低の冬型気圧配置となってシベリアからの寒気団が日本列島に南下し始めると、暖かい日本海からたっぷりと水蒸気の補給を受けて、積乱雲が発達します。この積乱雲は雪雲で、日本海側の地方に雪を降らせます。積乱雲は雷雲ですから、雷が鳴り、これを「雪起し」、「ブリ起こし」といいます。この雷が鳴ると北陸では雪が降り始め、富山湾に回遊してきたブリが獲れるためこのようにいうのです。富山湾の氷見ブリは有名で、塩ブリとなって内陸の飛騨の高山から遠くは群馬県の草津温泉あたりへも牛や馬の背の荷となって運ばれたという古い記録があります。
 また、秋田県ではこの地方の魚、ハタハタがこの雷が鳴るころによく獲れるので、「ハタハタ起こし」といったりします。ちなみにハタハタの漢字表記は、魚へんに雷と書く「?」です。
 暖候期に大雨を降らせる積乱雲は1万mから1万3000mもの高さまで発達しますが、冬季の日本海側で発達する積乱雲は、その高さがせいぜい4000mから5000mです。しかし、強い雷撃が航空機にあたり、機体の一部が損傷するなどの被害をあたえたこともあり、冬季にこの方面を飛行する民間航空機や自衛隊の飛行機にはやっかいな、警戒を要する雷雲です。
戸山 九(気象予報士)

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