低気圧付近では空気が上昇して、冷やされて雲になります。これが、やがて雨となって…
低気圧は、周りから空気が集まってきて、その空気が上昇気流となって上空へのぼっていく性質をもっています(前線付近や気圧の谷、台風も同じ性質です)。地面近くで暖かかった空気が上空へ昇っていくと、冷やされて空気中の水蒸気が水の粒や氷の粒になって現れてきます。水や氷の粒が集まったものが雲です。雲がどんどん大きくなって、水や氷の粒がお互いにくっつきあって大きくなり、やがて空に浮かんでいられなくなると、地上へ向かって落下を始めます。氷の粒がそのまま融けずに降ってくると雪ですが、たいがいは融けて水(雨)となって落下します。
日本やヨーロッパ、アメリカなど中緯度の国々は、上空の西風(偏西風)の影響で、天気は西から東へ変わるのが普通です。春や秋に天気が周期的に変化するときは、1日に経度にしてだいたい10°くらい(1000km)の速さで天気が変化します。したがって、前日に低気圧の影響で、中国の上海で降っていた雨が、低気圧の進行で翌日には九州の福岡で雨、翌々日には関東の東京で雨と変化していくのです。上海→福岡→東京はだいたい1000kmの距離感覚です。
「低気圧がやってくるから雨になる」というのは、だいたいこうしたことを経験的にも、知識としても知っているからだと思います。
ただ、低気圧の動きが予想より遅かったり、速かったり、また進行のコースが予想通りでなく、北へ向かってしまったり、南海上へ下がってしまったりということがあります。予想より急に発達したり、また反対に弱まったりすることもあります。こんなときは、雨の降り出しの時間が遅れたり、早まったり、予想された雨が降らなかったり、ということが起きます。つまり、天気予報は当たらなかった(はずれた)ということになるわけです。
低気圧と高気圧 それぞれ、横から見たところと、真上から見たところ。
低気圧は1日に経度にして約10°(1000km)東に進む。
ある日、上海が雨だと、翌日は福岡が、翌々日は東京が雨になる。
戸山 九 (気象予報士)