普通のガラスよりも熱で膨張する割合が小さいから
ガラスが割れるのは、二つの原因があります。一つは、強い衝撃が加わったとき。もう一つは、冷たいガラスコップに熱湯を注いだときなど、急激な温度変化があったときです。ガラスだけでなく、ほとんどの物質は、温度が上がると膨張し温度が下がると収縮します。ガラスコップに、急に熱いお湯を入れると、お湯が当たった内側の面が膨張しますが、外側には熱がすぐには伝わらないので外側はすぐには膨張しません。そのため、ガラスの内側には膨張によって横に広がろうとする力が働き、外側はすぐには膨張しないので、広がるのを押しとどめようとする力が働くのです。この力の差によってガラスが割れるのです。
耐熱ガラスは、ガラスにホウ素という物質を混ぜて、温度が変化してもほとんど膨張しないようにしてあります。そのため、熱湯を注いでも割れません。
耐熱ガラスは膨張率が小さいので、反射望遠鏡の鏡にも使われています。遠いところにある微かな星の光を一点に集めるには、温度が変わっても形が変わらない高性能の鏡が必要だからです。
普通のガラスは、お湯が当たっている内側は膨張するが、
外側はすぐには膨張しないので割れる。
耐熱ガラスは、膨張率が小さいので割れない。
白鳥 敬(サイエンスライター)