回転する車輪と乗っている人間がバランスをとろうとしているから
回転している車輪には姿勢を安定させようとする力が働いています。音楽CDを床の上に立てようとしても立ちませんが、転がすと立ちますね。これと同じです。でも、それだけでは自転車は立っていられません。走っていると必ず傾きます。その傾きを感じて倒れないように操作しているのが人間です。
自転車が右に傾きそうになると、ハンドルを右に切ります。すると、車輪は地面に押されて左に向かう力を受けます。今度は左に傾きそうになるので、ハンドルを左に操作して、地面から右向きの力をもらいます。このとき、乗っている人は自転車が傾いている方向とは反対の方向に体を傾けてバランスを取っています。このように、自転車が走っているときは、ハンドルと体を左右に交互に動かしながらバランスを取っているのです。ゆっくり走っているときは、ハンドルも体も左右に大きめに動かしていますよね。これは、低速のときは車輪の回転速度が遅くなっているので、姿勢を安定させるために働く力が小さくなっているからです。
自転車が傾いた方向にハンドルを向けて
逆向きの力を地面からもらい、
同時に体を反対方向に傾けて
バランスをとっている。
自転車のハンドルにつながる
フォークの先は少し曲がっている。
これは安定性をよくして
運転しやすくするためだ。
白鳥 敬(サイエンスライター)