一定の条件になると果実中にリコペンなどが増えてくるため
トマトには、黄色、オレンジ、ピンク、赤などの果実があり、必ずしも赤くなるわけではありません。日本で一般的なトマトの色はピンクです。ミニトマトなどの果実が赤色です。両者の違いは果皮色の違いで、ピンクのトマトは表面の薄い果皮が無色なのに対し、赤色トマトでは黄色なのです。
トマトの果実の色素には、葉緑素(クロロフィル)の他、リコペンやカロテンなど赤や黄色の色素がありますが、果皮と果肉のこれらの色素構成により果実の色が決まります。
一般にトマトの果実は開花後70~90日程度で着色しますが、実際には開花後日数が問題ではなく、毎日の平均気温を加算していった有効積算気温が重要です。つまり夏は早く、冬は遅く着色します。大玉タイプの品種では1200℃程度で着色するものが多いようです。この時期までに果実中の葉緑素(クロロフィル)が減少し、かわりに赤色のリコペンなどの色素が増加してくるのです。最近は変わりもののトマトが増えました。色や形が実に変化に富んでおり、カラフルなトマトも多く、中にはゼブラ模様のトマトまであります。
トマトには着色することにより目立ちやすくなり、鳥などの動物に食べられて、その種子を遠くに運んでもらうために、種子が成熟する時期に着色するものと考えられています。
丸尾 達 (千葉大学園芸学部 准教授)