原因によって区別します。高波は風、高潮は気圧、津波は地震を原因とするものです。
高波とは被害をもたらす高い波のことで、その原因は、主に低気圧の発達による強い風です。高波には何m以上というような具体的な基準はありませんが、気象庁や気象台では、波浪注意報、波浪警報を出す基準を決めていて、例えば神奈川県(横浜地方気象台で出す)では相模湾の波高(波の高さ)が注意報は1.5m、警報は3.0mの高さが見込まれるときに出されます。
次に津波と高潮ですが、ともに海の波が沖合いの方から盛り上がって、海岸や沿岸の方へ押し寄せる現象としては同じようなものですが、その原因によって区別しています。津波は地震によって起きるものですが、高潮は主に台風や低気圧による海面の吸い上げが原因です。昔は津波と高潮の区別がはっきりしておらず、すべて津波と呼んでいた時期もありましたが、昭和9年(1934年)の室戸台風(高潮で大阪湾沿岸地域の被害が大きかった)以後は、地震を原因とするものを津波、それ以外に主に台風(や低気圧)を原因とするものを高潮と区別するようになりました。
津波とは、地震の震源域が海の底で、大きく海底の地盤が陥没したり隆起したりすると、その上に乗っている海水に大きな変動が起こり、それが震源域から四方へ広がってやがて陸地に押し寄せるものです。古くは昭和35年(1960年)のチリ地震津波(南米のチリ沖の巨大地震により地球の裏側である日本まで津波が押し寄せて、三陸海岸に大きな被害を出した)や、2004年暮れのスマトラ沖地震によるインド洋大津波などたくさんあります。
高潮は台風の来襲時に気圧の低下による海水の吸い上げ効果、強い暴風による海水の吹き寄せ、大潮で満潮時が重なるなどどえ、海岸や沿岸から陸地に海水が侵入するものです。昭和34年(1959年)9月の伊勢湾台風では、死者・行方不明者が約5000人も出ていましたが、その7割は高潮によるといわれています。また1999年9月の台風18号では、熊本県不知火町で、防潮堤を越えた高潮によりいっぺんに12人の方が亡くなられました。台風来襲時、特に南に開いた湾(東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、有明海など)では高潮に警戒する必要があります。
台風が接近した場合、高潮と高波が合わさって被害をもたらす。
戸山 九(気象予報士)