お風呂ろの傾きなどお風呂ごとの特徴が原因
渦ができるのは、お湯の流れの向きが排水口の中心からそれるため。その原因はたとえば、排水口の形が完全な円ではないとか、風呂おけの底が傾いている、あるいは、流れの途中にわずかな出っぱりなどがる…といったようなことだ。それが「目に見えないほどごくわずか」でもきっかけになり、しだいに強まってはっきりした渦になるんだ。
これらの原因は、風呂おけごとに最初から決まっている。だから、ある1個の風呂おけでできる渦は、同じ方向になりやすいというわけだ。ただし、ふつうの風呂おけではこれらのはたらきはそれほど強くないので、排水口の真上でお湯を一方向にかき回してから栓を抜くと、かき回した方向に渦ができるはずだ。
なお、よくいわれる「地球が自転しているため…」という理由は間違いだ。地球の自転の影響は、風呂おけのサイズでは上に紹介した原因よりもさらに小さくて、渦の向きを決めるほどにはならない。ただし、何10kmにもおよぶような巨大な運動…だとえば台風などでは自転の影響がはたらいて、北半球では反時計回り、南半球では時計回りの渦になるんだ。
山村 紳一郎 (サイエンスライター)