皮と筋肉では 熱をうけて縮む度合いが異なるため
イカの食べる部分は筋肉ですが、外側と内側に皮があります。調理するときには外側の皮をむきますが、多くの場合は内皮が残っています。また、外側の皮もいくつかの層になっているため、むいたと思っても薄い皮が残っていることがあります。つまりイカを焼くときには、「皮がくっついた筋肉」に熱を加えていることになります。
皮も筋肉もタンパク質でできていて、熱をうけると縮みます。でも、皮と筋肉とでは、タンパク質の種類や細胞のつながり方が異なるため、縮みぐあいがちがうのです。普通は皮の方が筋肉より大きく縮むので、より強く表面を引っぱります。するとイカの肉は、皮のある側を内側にしてそり返る…つまり、丸くなるというわけです。
なお、セロハンや紙などに水蒸気を当てると、イカと同じように丸くなることがあります。これは、水分を吸った側の表面がのびるためで、イカとは逆のことが起きています。
山村 紳一郎 (サイエンスライター)