水蒸気が水滴になり光を乱反射させるから
鏡がくもる原因は、水蒸気が細かい水滴になって鏡に付くからです。水は温度によって気体(水蒸気)でいられる量が変わります。夏などの暑い日に、氷の入ったジュースのコップの周りに水が付いていることがありますね。空気中の水蒸気が冷やされることで気体でいられなくなり、液体になってコップに付くのです。それと同じことが鏡の付近で起こり、水蒸気が液体になって鏡に付くのです。
鏡の表面であるガラスは水を弾かない性質を持ちますが、汚れや油が付くことにより水を弾くようになります。そこに付いた水分は表面張力によって球状の水滴となり、光を乱反射させるのでくもって見えるのです。表面張力とは表面積を最も小さい球状にしようとする力。そのため、無数の水滴が鏡の表面に付いてしまうのです。
くもりを防止するには、表面張力をなくして水滴が平らに広がるように表面の汚れをとる、水と油を混ぜる界面活性剤を成分としたコーティング剤を塗るなどの方法があります。水滴同士が鏡の上で平らに濡れ広がれば光が乱反射しないからです。家庭の石けんや洗剤、シャンプーなどがいいでしょう。
また、湿気を少なくする、鏡にヒーターを入れて温め、水蒸気が液体になるのを防ぐことで水滴が付かないようにする、などの方法もあります。
佐倉美穂(ライター)