毎年、12月中旬ころにニュースなどで話題となる“三大流星群”の1つ「ふたご座流星群」がいよいよ活動のピークを迎える。
流れ星の出現数が多いとされる三大流星群とは、新年早々の1月3~4日ころにピークとなる「しぶんぎ座流星群」、8月12~13日のお盆のころの「ペルセウス座流星群」、そして12月13~14日ころの「ふたご座流星群」だ。その中でも、ふたご座流星群は、一晩で出現する流星数が圧倒的に多く、しかも毎年安定していて期待を裏切らないダントツの流星群なのだ。
まれに、火球
と呼ばれる半月~満月級に輝く特大流れ星も出現することがあるので、防寒対策をしっかりとして、ぜひ観察しよう。
ふたご座流星群の母天体は不思議な天体?
流星は、宇宙に漂
う直径1mm未満~数cm程度の砂粒や小石のような宇宙の“チリ”が、秒速数10kmという猛烈な速さで地球の大気に飛び込んで衝突し、地上から130~70km程度の高さで起こる発光現象だ。
毎年同じ時期に観察できる流星群。その元となるチリの群れの起源は、太陽に近づくと長い尾を伸ばす天体として知られる彗星(ほうき星)だ。流星群の流星物質の正体は、彗星が軌道上に撒
き散らしたチリなのだ。流星群の元となる彗星を「母天体
」といい、ペルセウス座流星群の母天体は、133年周期で太陽の近くに戻ってくるスイフト・タットル彗星だ。
一方、ふたご座流星群の母天体は、小惑星・フェートン(ファエトンとも呼ばれる)と言われている。「むむ!? 彗星ではなく小惑星?」と疑問に思うだろう。このフェートンは、太古に彗星としてチリを放出していたが、その後、枯渇
して彗星としての活動を停止し小惑星となったという不思議な天体。ちなみにフェートンの公転周期(太陽のまわりを1周)はわずか1.43年で(有名なハレー彗星は76年)、その軌道に沿って、円筒状に拡散した数多くのチリも一緒に公転している。地球がちょうどそのチリのチューブ(彗星の軌道)の中を通過するときに、ふたご座流星群が見られるのだ。
今年は新月なので条件最高! 12/13夜~14未明、14夜~15未明の2晩楽しめる!
今年の極大(ピーク)日時は、12月14日9時ごろ。「あれ?昼間だからダメなの?」なんて悲観することはまったくないゾ。
ふたご座流星群はピークに幅があり、出現数も安定しているので、前後2日はOKだ。【観察オススメ1】は 12月13日夜~14日夜明け、【観察オススメ2】は 12月14日夜~15日夜明け。12月15日が新月なので、極大日前後は月明かりをまったく気にすることなく最良の条件だ。夜空が暗くたくさん星が見える条件の良い場所で観察した場合、1時間あたり60個程度見られる予想だ(市街地など夜空が明るい場所では数が減ってしまう)。
ふたご座流星群の特徴としては、地球に突入する速度(対地速度)が、35km/秒(秒速35km)で、流星群の中では中速、夏のペルセウス座流星群(59km/秒)とくらべると、わりとゆっくりした速度に感じるかもしれない。
また、まれに「火球」と呼ばれる大物の流れ星も出現する。明るい流星が出現したあとに、「流星痕
」と呼ばれる淡い煙のように輝く痕跡
が見られることがあるが、ふたご座流星群の場合はそれほど多くはない(ペルセウス座流星群は大気への突入速度が高速のため流星痕が見られる可能性が高い)。
ふたご座流星群の観察ポイント
放射点(輻射点
)は、ふたご座α(アルファ)星・カストル(お兄さん星)の近くで、この1点から全天四方八方に流星が流れる。
ふたご座は、宵
の口には北東の空に昇ってきて、深夜1時半頃に天頂に達する。この放射点の高度が高いほど流星出現数も相対的に増えるので、宵
の口よりも深夜前後からがおすすめだ。日本から見る「ふたご座」は、ちょうど天頂付近を通過し、12月中旬のこの時期はほぼ一晩中見える星座なので、日本では“最も観察しやすい流星群”と言える。
観察のコツは、広い視界を確保しつつ、街灯などの明かりが視界に入らないように工夫し、オリオン座など好きな星座方向をまったりと見る感じ。いろいろな方角をキョロキョロしすぎると見逃す可能性が高い。
とにかく寒さ対策は万全で挑んでほしい。また、翌日は平日なので、肉眼での観察は短めにして、自宅の庭やベランダからカメラで自動撮影…という手もあるぞ。あとは、天気に恵まれることを祈るのみだ!
コカネットでは姉妹誌『天文ガイド』とコラボしてライブ中継!
「コカネット」では、『子供の科学』の姉妹誌『天文ガイド』編集部とコラボして、ふたご座流星群の観測の様子をライブ配信!
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